オフィスラブ【志乃 番外編V(劉生クリスマスver)】


  • 横山劉生は急いでいた。

    右手には鞄とケーキ。左手には花束とワイン。そしてポケットの中にはプレゼント。

    駅から続く商店街からクリスマスソングが流れ、人で溢れかえっている。

    劉生は23日のリリースを無事終え、ようやくひと段落ついたのが25日の昼間だった。
    ここ何ヶ月、土日祝日も休みなく働き、家に帰らない日も多々あった。今日は早めに帰社し、
    プレゼントをなんとか用意して家路についているのである。

    志乃は今日も遅いと思っているに違いなかった。

    遅くなると思うと言ってあったし、実際そうだと予想していたのだが、思いのほか仕事が早く片付き、
    皆が早く帰れと言ってくれたのだった。

    職場のメンバーは皆、劉生と志乃が付き合っていることを知らなかったので、二人が結婚したことに
    驚いていたが祝福してくれた。

    志乃は皆に可愛がられていたし(ある特定の女子たちを除いてだが)、仕事人間の劉生が所帯を持つことに
    誰もが賛成した。

    志乃は今年の3月に、女の子を出産した。名前は日向乃。
    志乃に似て色が白く、目元は劉生に似ている。

    名前は劉生と志乃で考えた。日向のように暖かく優しく人を包み込むような子になって欲しいという
    思いだった。「乃」という字は劉生が志乃と合わせて付けたいと言って採用された。

    早く志乃と日向乃に会いたい。
    日向乃に限っては長いこと寝顔しか見ていないので起きている間にどうしても会いたかった。
    劉生は早足に帰り、家の扉を開けた。

    「あれ!?お帰りなさい」

    志乃が驚いて劉生に近づく。

    「日向乃は?」
    「今寝たとこ」

    劉生はは〜とため息をついた。どうやら間に合わなかったらしい。

    「あーぁ。今日こそは遊ぼうと思ったのになぁ」

    残念がる劉生を見て志乃が笑う。
    劉生は花束とケーキを渡した。

    「じゃあ、二人でパーティだね」
    「このために早く帰ってきたの?仕事大丈夫?」
    「うん」

    劉生はコートを脱いだ。寝室で寝ている愛娘を見に行く。

    すやすやと眠っている顔はまさに天使だった。部屋が暖かいからか、寝ていて体温が上がっているからか、
    ふっくらした頬が真っ赤なところがまた愛しい。
    ぎゅーっと抱きしめたいが、我慢する。

    「食べてくると思ってたから、大したものないの。麻婆豆腐と、サラダと、きゅうりの浅漬けと・・・
    あ、チーズもある」
    「充分だ」

    久しぶりに劉生が早く帰ってきて志乃は喜んでニコニコしている。
    志乃が食事の用意をしている間に風呂に入る。

    今日は特別寒い。劉生は凝り固まった身体が温かい湯で緩んでいくのを感じた。

    風呂から上がると、志乃がすかさずビールを注いでくれた。
    花束もテーブルに活けられ、キャンドルがともされている。少しでもクリスマスの雰囲気が味わえるように
    したらしかった。

    「しまった。志乃は飲めないのに、ワイン買ってきてしまった」

    劉生はビールを注いでもらいながら言った。
    志乃は母乳で育てているため、禁酒中である。

    「劉生さんが私の分も飲んで」

    志乃は温かいお茶を用意していた。
    乾杯と言ってグラスとマグカップをカチンと当てた。

    「今回は随分長かったよね。お疲れさまでした。体大丈夫?」

    志乃が心配して尋ねる。

    劉生はビールを一気に飲み干し、麻婆豆腐に箸を伸ばす。
    志乃の手料理は久しぶりだ。素直に美味しいと呟く。

    「俺は大丈夫だよ。志乃の方がまいってるんじゃない?」
    「ううん、平気。日向ちゃんと過ごしてるの、楽しいから」

    志乃は笑って答えた。
    劉生は随分と痩せた志乃を見つめた。

    子育てが楽しいだけでないことは充分にわかっていた。
    眠りたい時には眠れないし、自分の時間もほとんどなく、合間合間に家事をこなすのもやっとで、
    あっという間に1日が終わる。

    それでも志乃は劉生に愚痴を言ったことなどなかった。

    夜はほとんど12時を回って帰り、土日も仕事でつぶれることもある。
    普通だったら見放されてもおかしくないのに、志乃はいつも待っていてくれ、身体を気遣ってくれた。

    子供と二人きりの毎日で寂しくないはずがない。
    父親として子供ともっと触れ合って欲しいと思ったり、たまには育児から解放されたいと思っている
    はずなのに、志乃はいつも幸せそうにニコニコ笑ってくれる。

    劉生はいつも志乃に申し訳ないと思っていた。
    それでも仕事の手を抜くということが劉生には出来なかった。

    同期で同じように出世している者も、ほどよく手を抜いて仕事を部下に回し、うまく仕事をしているが、
    劉生にはそれができなかった。

    根っからの真面目さがそれを許さなかった。任されたからには責任を持って仕事をする。
    部下たちを信用していないわけではないが、全て確認しなくては気がすまない。
    どんなに時間がかかっても、きっちり仕事をこなした。

    おかげで劉生が任されたプロジェクトが失敗したことは一度もない。当然、期限も遅らせたことはなかった。

    志乃はそんな劉生の性格を把握し、仕事に打ち込む劉生を応援してくれているのである。

    「あ、そうだ。ちょっとこっち来て」

    食事が終わり、ワインをゆっくりと味わっている劉生に志乃が言った。
    寝室からベランダに出る。大気の冷たさに二人とも目を細める。

    「ほら、あそこ」

    志乃が指差した方向に、大きなクリスマスツリーが見えた。

    「へえ・・・綺麗だな。あんな大きいツリーあったんだ」
    「うん。いつも寝る前に日向ちゃんと一緒に見てるの。最近はキラキラって手を動かすんだよ」

    手をひらひらと動かしながら嬉しそうに言った。

    日向乃を抱きかかえながらツリーを見て、劉生の帰りを待つ姿を想像した。
    隣の志乃をそっと見つめる。

    志乃は子供を産んで、随分としっかりした表情になった。
    それもそうかと劉生は思う。

    出産の最後の瞬間にぎりぎり間に合った劉生は、急遽立ち会うことになった。

    志乃の尋常じゃなく苦しんでいる姿に、劉生は自分が何もできない不甲斐なさに腹を立てた。
    志乃の手を握るが、志乃は痛みに耐えるべく、ものすごい力で握り返してくる。

    あの姿を見て、劉生は女性には勝てないと思ったものだった。
    自分の仕事の大変さなどどうってことはない。そう思った。

    劉生は志乃の肩を抱いた。
    志乃が劉生を見上げる。

    「志乃と・・・結婚して、本当に良かった」
    「それは私の台詞です」

    志乃はフフと照れて笑った。

    「本当にそう思ってる?俺はひどい夫だし、ひどい父親だよ・・・。君たちに何もしてやれてない。
    いつも家のドアを開ける度に思うよ。あきれられていなくなってたらどうしよう・・・って」
    「そんな心配しないで。劉生さんが帰ってくれるのを『待ってるだけで幸せ』だから」

    志乃はいつもそう言って劉生を安心させてくれた。
    今日はいつもよりその台詞が胸に響く。

    「でも、ひどい奴だと思ってるだろ?少しは」
    「それは・・・毎日遅いのが本当は仕事じゃなくて、女の人のところにでも行ってるならひどいと
    思うけど・・・」

    志乃は冗談とも本気ともつかないような風に言った。
    劉生は志乃を両手で抱きしめた。

    「志乃以外の女に、興味あると思う?」
    「・・・・」

    志乃が答えないので、劉生は顔を覗き込んだ。

    「どうした?」
    「・・・私、ただでさえ綺麗じゃないのに、最近は完全に手を抜いてるし・・・その・・・体系も崩れたし・・・」
    「そんなこと気にしてるの?」
    「でも・・・」

    劉生は再び腕の中に志乃を抱いた。今度はずっと強く。


    「どんなに綺麗で美人な女性が現れたって、志乃に勝る人はいないよ・・・。
    いつだって俺が抱きしめたいと思うのは君だけだ」
    「劉生さん・・・」

    劉生は屈んで志乃にキスした。冷たくなった唇が触れ合う。
    部屋に戻り、志乃をそっとベッドに押し倒す。

    劉生が志乃の頬、耳、首筋、鎖骨にキスする。志乃が体を強張らせた。
    丁寧に志乃の服を脱がす。

    久しぶりに体を重ねる。志乃が少し緊張しているのがわかる。
    志乃の滑らかな肌に指を滑らせる。胸をやんわりと揉んだ。

    「ん・・・」

    志乃が劉生にしがみついた。すかさず唇で唇を塞ぐ。
    劉生の首に腕を回し、志乃は夢中でキスしてくる。

    (ずいぶん・・・寂しい思いをさせた・・・)

    志乃は今までの寂しさを埋めるかのように必死にしがみついてきた。
    劉生もキスで答える。

    二人は固く抱き合って、深く強くキスした。
    顔を話すと志乃が泣いている。

    「志乃・・・」
    「ごめんなさい。なんでもないの・・・」

    志乃はやはり無理していたのだ。寂しさを我慢して、常に笑顔を絶やさなかった。
    仕事だから仕方ない・・・そう自分に言い聞かせて。

    耐えてきたものが溢れ出し、それでも尚なんでもないと言う志乃を見て劉生は胸が熱くなり、瞳を潤ませた。

    「・・・ごめん。いつも・・・寂しい思いさせて・・・。一緒にいてあげられなくて・・・ごめん」

    劉生の優しい声の囁きが、よりいっそう志乃の涙を誘ったらしく、志乃は声を殺して泣き始めた。

    劉生は志乃の涙を唇で受け止め、再びキスした。

    (こんなに・・・愛しいと思うのは君だけだ・・・)

    志乃の乳房に唇を這わせる。
    乳の匂いがほのかに漂い、そのピンクの先端を舌で舐めた。

    「あ・・・」

    志乃が体をピクンと揺らした。
    軽く吸うと、母乳の味がする。劉生は’性的な愛撫’になるように舌で舐め転がした。

    「ふ・・・」

    志乃が劉生の髪に指を通して頭を抑える。しばらく舐め転がしていると、固く立ってきた。
    チラと志乃の様子を伺うと、志乃と目が合った。

    「・・・大きな赤ちゃんみたい」

    頬を赤らめた志乃が恥ずかしそうに言った。

    「それはいいね。君に一日中抱っこしてもらえる」


    劉生は仰向けの志乃の左側に添い寝をするように横になった。
    下半身に指を滑らせ、茂みの奥を探る。
    そこは充分潤っている。

    「あ・・・」

    割れ目に指を沿わせたかと思うと、下腹部を撫で、内ももを撫でる。
    再び、割れ目に指を近づけるが、まだ触らない。

    「んん・・・」

    志乃は焦れて体を捻った。
    劉生は志乃の耳を甘噛みした。
    ようやく指でトロトロに濡れいる部分に触れた。

    クチュクチュ・・・

    「あンン・・・」

    すんなりと指が奥に入り込む。長い中指をゆっくりゆっくり出したり入れたりする。
    志乃が腰を浮かす。

    「すごい濡れてる・・・」

    劉生が耳元で囁くと志乃は恥ずかしさで耳をピンク色に染めた。
    早くこの中に入れたい衝動に駆られるが我慢する。

    充分に濡れた中指で今度はクリトリスを撫で転がし始めた。既に固く勃起している。

    「あ!ん!!」

    志乃はピクンと体を震わせた。かなり敏感になっているようだった。劉生は優しく撫でるように触れた。

    「あ・あ・あ・・・」

    劉生の指の動きに反応し、体を揺らす。

    「自分で・・・触ってみて」

    劉生は志乃の手を掴んで導いた。

    「え?・・・自分でって・・・」
    「気持ちいいとこ、触ってみて」

    志乃はか〜っと顔を赤くした。

    「そんな・・・恥ずかしい・・・」

    手をひっこめて拒絶した。
    劉生はしつこく志乃の手を掴んだ。

    「見たいんだ・・・ダメ?」

    志乃は恥ずかしそうにもじもじとしていたが、劉生の再三のお願いに応じた。

    クチュ・・・チュ・・・クチュ・・・

    「ん・・・んん・・・」

    劉生が包皮を捲り、クリトリスを露にする。
    志乃は最初はおずおずと触っていたが、次第に気持ちよさに任せて自分で愛撫し始めた。

    「あ・・・劉生さ・・・私、恥ずかしい・・・」
    「可愛いよ。続けて」

    劉生が指を二本割れ目の奥に挿入した。

    「あ!だめ・・・!」

    劉生はグチュグチュとかき回した。

    志乃の指が止まっていると、ちゃんと動かすように指示した。

    志乃の息が荒くなってくる。足に力が入っている。絶頂を迎えそうなのがわかる。
    志乃の指が早まる。

    「気持ちいい?」
    「はい・・・」

    志乃は恥ずかしそうに答えたが、もはや欲望に抗えないといった様子で指を動かしている。
    劉生も出し入れする指を早めた。

    クリクリ・・・ヌリュヌリュ・・・

    「あン!・・・劉生さん・・・もう・・・!ああぅ!」
    「いいよ」

    志乃は目をぎゅっと瞑り、腰を浮かせ、背中を反らせた。

    「あ、だめ、あ!あ!ああん!!」

    ビクンビクンと体を揺らして達した。
    ヒクヒクと劉生の指を締め付ける。劉生は指を抜かず、そのまま再びGスポットを刺激した。

    「ああ!だめ、だめ!そこは・・・!」

    志乃は逃げるように体を捻った。
    劉生が体を押さえつけて指を動かす。

    「あ!あ!あんん!!」

    ぐちゅぐちゅと愛液が飛び散る。きゅうきゅうと志乃が締め付ける。

    「ん!んーッ!!だめえ!劉生さん・・・!!」

    劉生は空いているほうの手でクリトリスを軽く摘む。

    「はあぅ!!だめ!また・・・!ああん!!」

    志乃はきゅううっと中を締め付け、体を固くしたかと思うと劉生の腕を強く掴んで絶頂を迎えた。

    はあはあと全身で息をする。志乃の白い肌がところどころピンク色に染まる。

    「今日は・・・何度でも気持ち良くしてあげたい」

    志乃は涙目でイヤイヤをした。

    「私だけ・・・いやです。劉生さんも気持ち良くなって・・・」

    志乃は起き上がると、劉生を仰向けに倒し、上に乗っかった。
    劉生がしてくれたように、耳、首筋、鎖骨に唇を這わせる。
    志乃の柔らかい唇が肌を滑り、心地よさに目を瞑った。

    志乃の小さい、子供のような手が劉生の下腹部を撫でる。
    すぐそこには既に張り詰めるように勃起した劉生のモノがあった。
    志乃はそれを両手で優しく包み込むと、少しためらいがちに口に含んだ。

    「・・・・っ」

    志乃の生温い口内に捕らえられ、劉生はゴクリと喉を鳴らした。
    志乃の舌と唇が行ったり来たりする様を見る。
    それだけで射精しそうだった。ずっとご無沙汰だったこともあり、劉生は耐えるのに必死だった。

    志乃のけなげに愛撫する様を見て、劉生は言った。

    「気持ちいいよ・・・」

    志乃はその言葉に応えるかのように、両手でしごきながらヌルヌルと舐め上げた。
    温かい舌が絡みつき、小さな口が締め付けた。

    「う・・・」

    本当にイってしまいそうになって、劉生は志乃の頭を抑えた。

    「待って、イキそう・・・」

    そう言って志乃の口を外した。

    「私なら・・・いいのに」

    口内で射精してもいいということなのだろう。劉生は笑った。

    「無理しないでいいよ。また今度お願いするから。今日は・・・志乃の中でイキたいんだ」

    劉生は上に乗って、と言って志乃を跨らせた。
    志乃がゆっくり挿入する。

    「は・・・あん・・・」

    志乃の中は想像以上に濡れ、温かく、締まっていた。
    ヌヌヌ・・・と挿入するだけでもはや達してしまいそうである。

    「ゆっくり動いて・・・・」

    志乃は頷いて、腰を前後に動かし始めた。
    志乃はすっかり騎乗位も上手くなり、劉生を呻かせるほどになっていた。

    「あ・・・ん・・・。劉生さん・・・なんだか今日は・・・いつもより・・・」

    いつもより大きいと言いたいようだった。劉生もそれは自分でわかっている。
    はちきれそうに勃起し、はやく志乃の中に出したいと思うが、志乃を喜ばせるまで我慢する。

    「志乃も、締め付けがすごいよ・・・」

    グシュグシュと音が立つ。

    「あ!んん!ん!」

    劉生が志乃の腰を掴んで突き上げる。

    「はう!ん!んんー!!」

    志乃は潮を吹いて、劉生の腹を濡らしていた。

    「あ!だめ!・・・だめえ!!」

    劉生は射精を耐えて、腰の動きを早める。

    「ああっ!また・・・!うんんッ!んんーッッ!!」

    志乃はビクンビクンと体を揺らし、劉生に重なるように倒れこんだ。
    締め付けに耐えるため、劉生は体を強張らせた。

    すかさず正常位に体勢を変え、志乃の足を肩に乗せた。
    結合しているところからとめどなく愛液が溢れ、どろどろになっていた。

    「あ!劉生さん!私・・・ああ!」

    志乃はもはや朦朧とし、力なく頭を振っていた。

    「志乃・・・好きだ・・・愛してる・・・」

    劉生は志乃の体に体を重ね、耳元で囁いた。

    「私も・・・好き・・・!愛してる・・・!」

    志乃は再び涙を流していた。劉生にしがみつき、唇を重ねる。
    劉生はもはや我慢の限界にきていた。

    (志乃と・・・もっと、ずっと一つになりたい・・・)

    劉生は志乃の舌を強く吸った。

    「ん!ん!んーーッ!!・・・・・ッッ!!」

    志乃は劉生の唇を強く噛んで達した。
    ものすごい締め付けが劉生を襲う。

    「ーーーーーッ!」

    瞬間、頭が真っ白になり、志乃の中に欲情をぶちまけた。
    限界まで我慢した射精は、体中の全ての力を奪っていくようだった。

    はあはあと二人で大きく呼吸する。
    しばらく繋がったまま体を重ねる。

    志乃がぎゅ・・・と劉生を抱きしめた。再び乳の匂いに包まれる。
    心地よい匂いと感触に劉生は眠りに落ちてしまいそうだった。


    「あ!」

    志乃の声に体を持ち上げる。

    「どうした?」
    「日向ちゃんが、起きてる」

    ベビーベッドに目を向けると、日向乃が起きてこちらを見ていた。
    劉生と目が合うとにこーっと笑う。

    慌てて二人で交互にシャワーを浴びて、服を着る。
    劉生は久しぶりに見る起きている娘に胸を躍らせて近づいた。

    「日向乃、お父さんだよ。わかってるか?」

    抱き上げるときゃっきゃと喜ぶ。
    劉生は嬉しさで顔を緩めた。

    「恥ずかしいとこ・・・見られちゃった」

    志乃は情事を娘に見られたことを気にしているようだった。
    劉生は笑って言った。

    「父親と母親が仲いいことは、子供にとってもいいことなんじゃないの?」

    日向乃が劉生の顔をぺしぺしと叩く。

    「お?なんだ?怒ってるのか?ごめんな、お父さん、これからはもう少し早く帰るようにするから」

    そう言って日向乃の頬にキスした。何気ない風に言ったが、劉生は本気でそう考えていた。大切な人たちを悲しませてまで、仕事を続けていたらもっと取り返しのつかないことになるに違いなかった。

    「・・・あ!そういえば、二人にプレゼントがあったんだ」

    コートのポケットのプレゼントを持ってきて志乃に渡した。
    志乃に開けて貰う。

    「ペアの・・・指輪。これ、赤ちゃん用?」

    日向乃と志乃のペアの指輪だった。一つはとても小さく、足の指にはめるようだった。
    大きくなったらそれをネックレスにするらしい。

    志乃は喜んでさっそく日向乃の小さい足の指にはめた。

    「この子も、いつか男の人に指輪をもらう時がくるのね」
    「もう男の話?やだなあ、そんな日がくるかと思うと」

    ずっと先の未来の心配を本気でしてしまう。

    「誰にも巡りあえなかったら、それも困るでしょう?大丈夫、きっと劉生さんみたいな素敵な人を
    連れてくるから」
    「俺みたいな男?そんなの絶対だめだ」

    劉生は本気で嫌がった。
    志乃は笑った。

    「なんで?私みたいに幸せになれるはずだよ」
    「なんでって・・・とにかくだめだ」
    「はいはい、誰でもだめなのね」

    日向乃が頬を劉生の胸にぺたんと押し付けた。

    こんなに愛しいというのに、いつか他の男に連れていかれるのか・・・。

    劉生は、微笑みながら二人を眺める志乃を見つめた。

    子供がいなくなって・・・年老いてからの志乃と二人きりの生活もきっと悪くないはずだ。
    ずっとずっと先の未来。これからも明るく、暖かい時が流れることを心から願って言った。

    「メリークリスマス」


    END



    こまちの官能小説一覧に戻る